君にクラクラ微塵
こんにちわ
ころりんではない
微塵にまた脆弱性が発見されました
私の娘のことではない。
娘としての、私自身のことだ。
実家の母が、ますます老いていき、最近よく兄のことを口にするようになった。
私の兄は、不倫をして家を出ていった。
その日から私にとって、兄は兄でなくなり、母ももう息子とは思わないと言っていた。
でも、時が流れるにつれ、母の思いも変化している。
ちゃんとご飯は食べているのだろうか。
仕事も順調なのだろうかと、兄の身を案じない日はないのだろう。
ただ私の前で、不倫の話をされるのは、本当に気が滅入る。
特に義姉に対して、だんだんと不満が募ってきているらしく、兄をかばうあまり、不倫の原因を義姉のせいにしているような発言には、正直穏やかではいられない。
「あんたが悪いから、旦那が不倫に走るのよ。」と、まるで、私のことを言われているような気がしてしまう。
今日は私もいちいち母の言葉にいらついてしまい、思わず母に向かって叫んでしまった。
「いい加減にしなよ。いつまで不倫の兄のことを思ってるの?もうあいつは死んだんだよ。一生会えないんだよ!」と。
悲しそうな母の顔をみて、はっと我に返った。
私も同じ母親のくせに、なんということを言ってしまったのだろう。
母の辛さは、私にしかわからないのに・・・。
その辛さを聞けるのも、私しかいないのに・・・・。
どんなことをしても、たとえ殺人犯であっても、母にとっては、息子は息子なのだ。
逢いたいに決まっている。
許したいに決まっている。
母の辛さと、自分の不甲斐なさと、そしてやはり、なぜ旦那は兄の不倫が発覚した時に、自ら不倫を辞めてくれなかったのかという悲しさと、いろんな思いが混ざり合って、涙があふれてしまった。
母は私が不倫されたことを知らない。
息子が不倫をして家を出ていった母にだけは、娘の私までもが不倫をされたなんて、絶対に知らせてはならない。
だから、泣き顔を見せるわけにはいかなかったのに、どうしても我慢できずに涙があふれてきてしまった。
母は、兄のことを思って私が泣いていると思ったのだろう。
「ほたるにまで、辛い思いをさせて、ごめんね」と謝った。
それが余計に私の心を締め付けた。
実家に行くたびに、私が不倫の話に付き合うことはもうわかりきっていることで、それによって気分が落ちこむこともあるから、用事がない限り足が遠のいてしまったけれど、それすらも私にとってはかなりの罪悪感だ。
きっと、母に何かあったときに、私は心から後悔すると思う。
自分のフラッシュバックを避けるために、年老いた母に寂しい思いをさせたことを。
だから、なるべく母が私を必要としているときには、顔を出すようにしているけれど、いつも玄関の前で、自分に言い聞かせる。
「不倫の話が出ても、平気な顔でいられるように・・・。」と。
そしていつも帰り道にはぼんやりと同じことを考える。
旦那は、どうしてそれでも不倫を続けてこられたのだろうかと。
兄の一件があってから、「本当に別れようと思っていた。」と私に言っていたけれど、でもその後もずっとずっと長い間、朝から夜までA子を求めるメールを送り続けていたのは旦那の方だ。
その文面には、悲しいけれど別れたいと思う気持ちなんて、微塵も感じられない。
旦那が思っていたことは、「こんなこと、続けてはいけない」ということであって、決して自分が「別れたい」という思いではなかった。だから、こんなことが身近でおこっても、別れることなどできなかったのだ。
兄の不倫の話になるたびに、それでも不倫をやめてくれなかった旦那のことが、心の底から悲しくなる。
そして、兄の話をいつもさえぎってしまう。
ごめんね、お母さん。
本当はもっともっとあなたに会いに行きたい。
優しくあなたの愚痴を聞いてあげたい。
あなたが望んでいるように、あなたの息子に会わせてあげたい。
でも、今の私は旦那の不倫がまだまだ辛くて悲しくて、
兄の不倫がそのまま旦那への悲しみに繋がってしまう。
本当にごめんなさい。
私は最低な娘です。
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